中国, 上海, スマイルワークス(Smileworks & Co.)中国印刷事情

 
   中国印刷事情



国内印刷需要の海外シフトがアジアを中心に進んでいます。と同時に、外国企業が日本の印刷需要を狙って市場開拓に乗り出す動きも目立ち始めました。印刷会社の海外シフトには2通りあります。ひとつは、スマイルワークスのように、海外の安い労働力を求めて自ら進出する場合。もうひとつは、発注者側の海外シフトに合わせて生産拠点を移す場合です。大手電機メーカーなど海外シフトに積極的な企業では、製品に伴うカタログやマニュアルまで現地生産に切り替えることが多くなっています。そこを最大の得意先にしている印刷会社が仕事を失いたくないためにやむなく同調するケースです。

海外の印刷会社の努力は、印刷需要の直接受注も可能にしています。『DTP』設備にしても日本語書体を搭載した改良機を用意し、日本語を自由に操れるスタッフがオペレーションするなど、日本の仕事に合わせた徹底したシステムを用意しています。アジア各国の印刷レベルは日本よりも下と見られてきましたが、急速な追い上げによって現在は同等以上の印刷品質を実現している会社が増えています。

下記カタログは、クライアント様とスマイルワークス、中国系大手上場印刷会社(本社:上海市)の3社協同で製作したリボンのカタログです。商品数:20,000点以上、商品の色数:150色以上の商品1点1点を、商品によってはスキャナーを使用し、商品によってはカメラマンがデジタルカメラ(2,200万画素)で撮影。撮影された商品はオペレーターの手によりPhotoshopで1点1点切り抜き加工され、CMYKで再現しにくい色については、撮り直しや印刷時、CMYK+特色(最大6色)を使い、デジタル校正を出力しては色修正するという作業を何度も何度も繰り返し、6ヵ月がかりでようやく完成させました。制作現場の詳しい作業内容につきましては、この場では割愛させていただきますが、カラーチャートを製作するより遥かに難しく、このすべての工程を1社でしかも同じ敷地内で対応でき、各工程に携わってくださったスタッフの方々は交替で24時間高レベルな要求に対応し、ソフト・ハード面でのインフラもこれだけ整備されている印刷会社は日本にはないでしょう。
※このカタログは、『 4th ASIAN PRINT AWARDS 2006 』の銅メダルを受賞しました。











               『 4th ASIAN PRINT AWARDS 2006 』 銅メダル受賞作品


余談ですが、クライアント様からお預かりする日本で出力したデジタル校正は、我々の提携印刷工場で出力したデジタル校正よりも色面で劣り、印刷時の色合わせで苦労させられることが多々あります。それは我々の提携印刷工場の方が、日本でもあまりお目にかかることのできない最新鋭・最高級の設備とカラーマネージメント管理がいき届いている以外の何ものでもありません。

また、韓国や台湾のように通信ネットワークのインフラで特に先行している国では、日本との距離を不利としない製作が可能となっています。さらに、デジタル化が進んで印刷制作物にも規格品的な要素が増えてきたことから、自動車や家電、衣料品と同じような海外生産が可能になってきました。

出版業界でも海外の印刷会社に発注する会社が増えてきました。コスト削減策のひとつであり、その国の政策や文化との摩擦が起こりにくい、自然科学書関係など増えつつあります。またカレンダーや手帳なども急速に海外生産が増えています。



《中国での印刷実践編》
「所変われば品変わる」の言葉通り、日本と中国では印刷物を製作するにあたって、仕事のススメ方をはじめ、微妙な違いが多々見られます。日本の良いところもあり、中国から学ぶことも多く、実際の現場では、中国の方々が働きやすい方法を考えることが重要ですが、ここでは、まずその違いをご紹介していきたいと思います。

■中国で一般に流通しているA4のコピー用紙のサイズは、日本同様、297mm×210mmです。ところが印刷物、例
 えば、日本で言うA4(297mm×210mm)サイズのページ物は、雑誌やカタログをはじめ、中国の印刷物ではあ
 まり見かけません。A4( 297mm×210mm)サイズに近いもので中国で一般的に製作されている印刷物のサイ
 ズは、285mm×210mmとなります。もちろんA4(297mm×210mm)サイズの印刷物が製作できないわけでは
 ないのですが、日本と中国では洋紙の規格が異なり、A4(297mm×210mm)サイズで印刷物を製作しますやと
 紙の取り勝手が悪くなり、285mm×210mmで製作した場合よりかなり割高になってしまいます。紙の種類や数
 量によっても違いますが、見積り価格で20%近く差が出ることもあります。

■最近でこそ随分良くなりましたが、今でも中国ではページ物を製作する際、紙目よりも紙の取り勝手を優先しま
 す。日本でページ物を製作する場合、印刷会社にいちいち紙目を指示をしなくても、常識として天地に紙目が
 通っています。これはページをめくりやすくし、製本そのものがキレイに仕上がります。中国では、紙目よりも
 紙の無駄がでないよう配慮してくれてのことなのですが、中国でページ物を発注される際はこの点は必ず確認し
 てください。














■A4・2つ折パンフレットを数万枚製作した際、折り機にかけると、いくら調整しても折り目の部分が割れてしま
 うという問題が発生したことがありました。工場サイドがすぐにスタッフを動員し、人海戦術で手折りしてくれ
 て納期に間に合わせてくれたということがあります。コスト面を考えると日本では到底できないわけですが、こ
 のあたりがまさに中国の強みと言えるでしょう。

■空調設備が整っている工場ばかりではありません。街全体のいたるところでスクラップ・アンド・ビルドを繰り
 返す上海では、各工程ごとにきちんとカバー(ラッピングなど)をしてもらうよう指図しておきませんと、大切
 な印刷物がホコリまみれになってしまうのでご注意ください。

■製造業には納期がついてまわります。かつて急を要するカタログの製作で、8泊10日24時間印刷機フル稼働とい
 う仕事をやらせていただいたことがあります。外出もできず、もちろん肉体的にも、精神的にも大変だったわけ
 ですが、大量生産による工場の活気に加え、工場の方々のバイタリティに、現在の中国の強さを感じました。

■日本納品分で価格的に中国での印刷に適するもの
 中国の製造業は、安い労働力や安い用地代という低コスト環境に支えられていますから、日本国内でコストが合
 わない加工品度の高い印刷物などがオススメです。例えば、
 手貼りのペーパーバッグ、上製本の冊子、手封入のDM、加工の多い印刷物(箔押し、トムソン、PP加工等)、
 内職を伴う印刷物、組立ての必要な印刷物、大判インクジェット出力、データ処理(写真加工等)など。

■日本納品分で価格的に中国での印刷に適さないもの
 設備面では日本と同じか、それ以上のものを有しており、設備そのもの価格は中国も日本も差がないので、印
 刷・断裁だけの、例えばチラシのような機械だけの工程で完成してしまうような印刷物は、日本へ納品するにあ
 たって物流コスト(輸送費、通関費用など)が一律かかるため、発注数量が相当量ないと中国で印刷するメリッ
 トありません。また、日本納品するにあたって物流コスト(輸送費、通関費用など)が一律かかるため、総額が
 小さい印刷物も割高になります。 例えば、
 チラシなどの加工頻度の少ない印刷物や総額の小さい印刷物など。

■用紙の規格の違いでA4サイズ(297mm×210mm)が割高になってしまう中国ですが、用紙10トン以上の量が
 あればA4サイズ(297mm×210mm)にあった紙を購入することが可能です。 そうしますと価格的にも中国の
 A4サイズ(285mm×210mm)と変わらなくなります。

■上海市では、物価上昇と最低生活保障水準の上昇を受けて、2007年9月1日より毎月の最低賃金の手取り基準を
 月750元(1元=16.5円換算で12,375円)から840元(1元=16.5円換算で13,860円)に上昇させることを決め
 ました。また、時給計算でもこれまでの時給6.5元から7.5元に上昇させます。ただし、この中には食費、交通
 費、住宅補助、高温補助などの手当は含まれません。また、社会保険関係の会社側の会社負担は1人あたり最低
 162.7元、住宅公積金の会社負担も最低53元と決められました。これにあわせて失業保険の基準や、労災に支給
 される給付金など社会保障に関わる基準も改善されます。
 上海市では、2007年度下半期に上海市都市戸籍取得者全員に対して公的医療保険待遇を実現させるほか、企業退
 職者に支給される年金に関しても、1ヶ月あたり150元の増額を行おうとしています。<2007年8月23日掲載>
 
 印刷業界でもこうした流れを受け人件費また紙などの原材料の上昇が予想されます。http://www.smileworks.jp/012/TA.htmlhttp://www.smileworks.jp/012/SA.htmlhttp://www.smileworks.jp/012/TA.htmlhttp://www.smileworks.jp/012/PA.htmlhttp://www.smileworks.jp/012/KA.htmlshapeimage_2_link_0shapeimage_2_link_1shapeimage_2_link_2shapeimage_2_link_3shapeimage_2_link_4
紙目
原紙サイズと紙の取り方(中国版)http://www.smileworks.jp/009/BASE_PAPER_SIZE_OF_CHINA.html